NVIDIAは、オープンソースの5G・6Gツールのダウンロードが100万回を超え、世界の8,000以上の研究・教育機関が利用していると発表した。数字は2026年11月6日に公表され、ソフトウェアの使われ方を示す4つの研究事例も併せて紹介された。

NVIDIAは1年前に無線ソフトウェアAerialをオープンソース化し、Sionnaなどのオープンツールと合わせて6G開発を支えている。同社によると、AerialとSionnaの開発者による利用は過去1年で10倍に増えた。

ネットワークはロボットの反応を速められるか

ロンドン大学キングス・カレッジ(King’s College London)の研究者は、カメラ付きのロボットアームを、Sionnaを動かすNVIDIA Jetson AGX Orinにつないだ。Sionnaはソフトウェア定義の5Gネットワークとエッジ処理の両方を担う。ロボットは画像全体ではなく、物体、その位置、関係を簡潔にまとめた記述を送った。

意図的に故障を加えた果物の箱詰めと立方体の積み上げの実験で、この方法は定期的に画像を送る方式に比べ、作業完了時間を最大52.6%短縮し、成功率も高めたとNVIDIAは説明している。落とした物の検知、失敗した動作からの復帰、デジタルツインを使った事前の衝突確認もできた。

受信機は弱い信号をうまく復号できるか

SoftBankは、ニューラル受信機をNVIDIA Aerial CUDA-Accelerated RAN(ACAR)に組み込み、市販の5Gスマートフォンで試した。干渉を加えた制御下の試験で、試した15の設定すべてで従来型受信機を上回るアップリンクスループットを出し、最大の改善幅は約60%だった。

ETH Zurichの研究者は、NVIDIA Aerial Testbedを使い、現地の測定でニューラル受信機を調整した。選ばれた事前学習版と比べ、ブロック誤り率は3分の1以上低下した。

接続を切らずに電力を節約できるか

University of Leedsのチームは、10分先の需要を予測し、その予測をもとにどの基地局を休止させるか判断するシステムを開発した。停止の前に、近隣の稼働中の基地局が影響を受ける端末を引き続き収容できるかを確認し、容量の復帰が必要になる変化も監視する。

チームは、NVIDIA DGX Sparkを搭載した持ち運び可能な5G「ネットワーク・イン・ア・ボックス」とデジタルツインを使い、実際の無線機器で判断を検証した。研究者は、フルパワーの基準と比べてRANの消費電力が45.6%減り、端末の接続は維持されたと報告している。

ネットワークのシミュレーションは速くなるか

Centre Tecnològic de Telecomunicacions de Catalunya(CTTC)は、ACAR上で動くGPU高速化の無線チャネルモデルを、オープンソースの5Gネットワークシミュレーター5G-LENAに組み込んだ。初期評価では、統合の方法によって、シミュレーション時間が約3時間から10〜20分に短縮され、想定される統計的な挙動とネットワーク性能は保たれた。

オープンソースのツールには何が含まれるか

NVIDIAの以前の発表によると、AerialにはAerial CUDA-Accelerated RAN、Aerial Omniverse Digital Twin、新しいAerial Frameworkが含まれ、Apache 2.0ライセンスでGitHubに公開される。当時Sionnaのダウンロードは200,000回を超えていた。NVIDIAは、AerialとSionnaはGitHubで入手できるとしている。

価格

今回の記事に価格の記載はない。ソフトウェアはオープンソースでGitHubから入手でき、以前のAerialの発表ではApache 2.0ライセンスが示されていた。実験に使われたJetson AGX OrinやDGX Sparkなどのハードウェアは、どちらの情報源にも価格がない。

どんな人に向くか

大学や研究室の研究者は、AerialとSionnaがシミュレーションと実際の無線システムでの実験をつなぐため、アイデアの検証、結果の比較、他者の成果の活用に使える。

ロボットや自動化のチームは、無線の接続が応答時間にどう影響するかを、キングス・カレッジの事例から読み取れる。

通信事業者や機器メーカーは、SoftBank、Leeds、CTTCの結果を受信、電力、設計試験に関する初期の手がかりとして参考にできる。ただしすべて研究または制御下の試験だ。

無線工学を学ぶ学生や愛好家は、オープンソースのコードから始められる。必要な部分には適切なハードウェアが要る。

まだ分からないこと

記事が伝えるのは研究成果と初期評価で、商用展開ではない。これらの技術がいつ実際の6Gネットワークに登場するかは示されておらず、数字は各チームが記載の条件で行った試験によるものだ。

コードを確認するには、GitHubのNVIDIA AerialとSionnaのリポジトリを開くとよい。NVIDIAは、GTC Washington, D.C.で6G開発者向けセッションが開かれ、さらに研究が紹介されるとしている。